久々の投稿になります~。
 大きな台風が通過する今日この頃ですが、被害にあった皆様には心よりお見舞い申し上げます。
 幸い小生の住む地区では大きな被害もなくお蔭様で無事に過ごしております。。。

 さて、こんな時こそ自宅にこもってギターリペアに集中ということで、以前から考えていたアコギ
 ネックのネックアイロンに挑戦してみましたので掲載致します!
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 お気に入りのアコギですがネックが順反りで弦高が高く弾きずらい状態になってしまいました。
 トラスロッドをフルに締めこんでも効果がありません・・・
 写真では分かりづらいですが、5フレットから1フレットあたりにかけてネックが気持ち順反りにな
 っています。
P6110167 P6110168
 定規などネックに乗せると、順反りなので根本のほうに隙間が空いています。。。
P6110171 P6110174

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 トラスロッド調整でも修正が効かないネックの順反り(逆反り)対策は、調べたところ以下の
 通りでした。
 1.ネック交換・・・かなりの修理費が掛かります。(約5万円以上)
 2.指板交換・・・・同様に高額となります。
 3.ネックアイロン(リペアショップに依頼)・・・2~3万円以上かと。。。
 4.ネックアイロン(市販治具購入の場合)・・・・下記写真のARIA製治具が6万円ぐらいで
 販売されています。
ARIA製ネックアイロン
   

 5.ネックアイロン(自作治具と家庭用アイロンの場合)・・・手間はかかりますが、材料費3千円
    ぐらいで済みます。
 という訳で貧乏アマチュア工房としては、上記5案しか選択肢がありません・・・
 直る保証はありませんが、イチかバチか挑戦になりますね~
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 ちなみに【ネックアイロン】とは、専用の治具(または家庭用アイロンなど)でネックを熱で一定  
 時間(1.5~2.0時間)熱し、ネックに逆反りの負荷(順反りの場合)をかけることで強制的に治す方
 法になります。
 加熱すると指板とネックを接着している接着剤が軟化しますので、熱とテンションを一定時間加え
 その後自然冷却して接着剤を硬化させることになります。
 参考まで順反り、逆反りの各テンションの加え方は以下の通りで、今回①と②の方法を試しました。
 いづれにしろギターにとっては負荷の掛かる過酷なリペアになります。。。
ネックアイロン原理
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 それでは自作ネックアイロンに必要となる材料をご紹介します。
 写真はネックを強制する為のアルミの角パイプです、1m単位でDIYセンターに売っていますので
 ネックの幅と長さにあったものを購入します。
 今回L:100xW:40xH:2.5cmのものを購入し、長さを約45cm(指板の長さ)にカットしました。
 両端は熱が逃げないようアルミテープで塞ぎ、小さな穴(熱気リリース用)を開けて置きます。
P6110175 P6110176

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 続いて指板上でアルミ角パイプを浮かせ、逆ぞりの負荷かかる割りばしを準備します。  
 ネットで調べると割りばしやそれに近い厚みの板が使われているケースが多いので参考にしました。
 割りばしが開かないよう、こちも両端をアルミテープを張っておきます。
P6110180

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 次にアルミ角パイプとネックを挟むCクランプです。DIYセンター(75㎜)を3個購入しました。
 1個400円ぐらいだったと思います。ダイソーの百均にもあったのですが、寸法が小さく断念しま
 した。。。
P6110177
  自作ネックアイロンに必要な材料は以上になります。アルミ角パイプが¥1500ぐらいで一番
  高かった感じですね! 割りばしとアルミテープは自宅に有ったものを使いました。
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 さていよいよ自作ネックアイロンのセッティングですが、その前に必ずギターのトラスロッドを
 完全に緩めます。トラスロッドは半時計周りに回してユルユルになるか、回せなくなるまで完全に
 緩めてしまいます。
P6120195

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 セッティングは写真の通り、指板の1フレットと最終フレットに割りばしを乗せ、その上にアルミ
 角パイプを載せます。  
 そして写真の通り角パイプとネックをCクランプで軽く挟みますが、Cクランプがネックやギター
 本体にあたる部分(裏側)には傷がつかないようウェスその他で養生が必要です。
 またヘッド部またはネック付け根にボディの厚みと同等の置物(ヘッドレスト)を敷いてネックへ
 負担がかからないようにしました。今回発砲スチロールのブロックをヘッドレストにしてみました。

P6110183 P6110182
 
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 さて重要なテンションを掛ける部分ですが、今回のギターは5フレットから1フレットにかけて
 順反りとなっていますので、逆反りのテンションをかけるのは6~4フレットぐらいの間となりま
 す。その部分にテンション印加用Cクランプを慎重に挟みます。
 この場合もCクランプのネック裏側にはウェス等で傷防止が必要ですね!
P6110184

  テンションの加減(Cクランプの締め具合)が難しいですが、ある程度締めこんで横から見ると
  ネックが順反りに強制されているのが分かりますので、加熱したら様子を見ながら徐々に締め
  込むと良いと思います。
  ただ過大に締めこむとネック折れやひび割れが起きるようなので要注意ですね!
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 それではアイロンを乗せることに。。。
 熱を加える場所は順反りが始まる6~4フレットなのでその付近を狙ってアイロンを乗せ、作業中に
 落下しないようバランスを取ります。可能であれば落下防止のため針金などでアイロンの取っ手を
 Cクランプへ固定すると落下防止できます。 
P6110186

  
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 いよいよアイロンの電源投入します。
 ネットの情報ではアイロンの設定温度は”中”ぐらいで、加熱時間は2時間を1回としている方が
 多いようでした。 今回中央のテンション用クランプの両側を各30分(合計2時間)交互に温め
 てみました。
 アルミ角パイプはすぐに熱くなって触れなくなり、また15分ぐらいでアイロンの下のネック裏側
 が風呂の温度ぐらいになるのが分かります。。。
 【ご注意】
 ◆アイロンの電源を入れると直ぐにアルミパイプの温度が上昇し触れないぐらいになりますので、
  火傷や火災には十分注意してください!!
 ◆また事故防止のため加熱中は張り付きで作業するのが原則ですね!!
P6110185

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 無事ギターが焦げることもなく2時間経過~!
 アイロンの電源を切っても暫くは、アルミパイプやネックは熱くて触れません。
 アイロンを取り去って数時間すると常温になるので、反り具合によって一晩から1週間程度そのまま
 放置します。
P6110188

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  今回2晩放置してみました。
  恐る恐るCクランプを外して反り具合を見てみると~・・・
       やりました~!トラスロッドを完全に緩めた状態でネックが僅かに逆反りとなっています!
P6190201

   ネックアイロンを掛ける前は順反りでしたので、1回の自作ネックアイロンで効果が出て
   驚きです! 
P6190200

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 この後、トラスロッドを調整幅のセンター位置に締めこんで、弦を張って調弦してみました。
  順反りの具合が軽減し弾きやすくなっています。
  ネックアイロンの効果は負荷の掛具合や周辺温度・湿度でも変わってきます。また時間が経つと
  元に戻ってしまうことが有るそうですので、その点確認しながら数回ネックアイロンを繰り返す
  のがコツだそうです。
  今回1回目で効果が確認できたので、今後返してネックアイロンを試してみる予定です。
  夏場に限らず寒くなってから適用するのも効果があるかもしれません!
  後日効果について報告させていただきますね~。
  ではでは。。。
  
【ご注意】
  この記事を参考に自作ネックアイロンにチャレンジされる方は、火傷や火災など十分ご注意くだ 
  さい。また大切なギターを破損してしまう可能性もありますので、あくまでも自己責任にて実施
  いただきますようお願いいたします!!